《ビル管理》設備点検 #3:「全員が御社の担当者」の体制へ

「現場とつながるkintone」、前回は設備保守を手がける「Bビルメンテナンス」を舞台に、現場と事務のスタッフ全員で合意を取りながら進めたkintoneによるデータ化のステップをお話ししました。

しかし、実際の運用が始まると、現場から新たな声が上がりました。

現場スタッフ「現場で設備カルテを検索すると、同じ機種がたくさん並んでいて、シリアル番号などを確認しながら1台ずつ特定するのが大変です」

フロアに同じ空調機器が何台も並ぶ現場で、目の前にある特定の設備のレコード詳細画面を迷わずに表示するには、どうすればよいのでしょうか。

目の前にある設備のレコードを迷わず開く方法

Bビルメンテナンスが管理する現場には、同じメーカーの同じ型番の空調機器がフロアに何台も並んでいることがあります。現場スタッフはスマホを持っていますが、型番や設置場所の名前でkintoneの設備マスタを検索すると候補がいくつも表示され、シリアル番号などの詳細を見比べながら探す必要がありました。

そこで導入したのが、設備そのものにQRコードを貼り、それを現場で読み取る仕掛けでした。

ステップ1:kintoneから設備ラベルを発行する

まず取り組んだのは、設備マスタに登録された1台ごとの管理番号をもとにQRコードを作成し、実際の機器に貼り付ける作業です。

機器に貼るQRコードに社内kintoneのURLを直接埋め込んでしまうと、外部の人が読み取った際に社内システムのURLが見えてしまいます。そこで、QRコードには設備を一意に特定する「管理番号」だけを持たせるようにしました。

このラベル発行には、管理番号のQRコードが入ったラベルを、kintoneの画面から直接出力できるようにしました。

💡 ダイレクトラベルプリント for ブラザーなら、kintoneから簡単にラベル印刷ができます。

設備保守の現場には、熱がこもる厨房や、直射日光・風雨にさらされる屋上など、過酷な条件の環境にある設備も少なくありません。紙のラベルでは印字が消えたり剥がれたりしてしまうため、それぞれの環境に合った耐久性のあるラミネートラベルテープを採用しました。

ステップ2:kintoneでQRコードを読み取れるようにする

現場では、QRコードを読み取る仕組みも必要です。

kintoneの設備マスタの一覧画面上でリーダーを起動して設備のQRコードから管理番号を入力すれば、該当する設備のレコードが絞り込まれて表示されるようにしました。

💡 かんたんコードリーダー for kintone なら、バーコード・QRコードを読み取るだけで値がkintoneの入力欄へ直接入力され、手入力や転記の手間を省けます。

現場スタッフ「これなら探す手間がありませんね。前回の点検日も過去の修繕内容もすぐ見られるようになりました」

QRコードの貼り付けはコツコツと

管理する機器は何百台もあるので、QRコードを一斉に貼り付ける作業は大変です。そこで、定期点検などで現場を訪問したついでに、そのテナントの分を順次貼っていく方針を取りました。

このラベル貼りの作業を進める中で、顧客との間にも新たなコミュニケーションが生まれました。

主任「今後の点検や履歴確認をスムーズにするため、設備に管理用のQRコードラベルを貼らせていただきますね」

ビルオーナー「なるほど。これ、私も不具合があったときにこのQRコードの写真を送ったら、どの場所の設備かすぐにわかりますか?」

主任「はい、写真を送っていただければすぐに特定できます。とても助かります」

お客様から届いたQRコード

数週間後、残暑のある日の午後。第1回でエアコンの不調に見舞われたあのカフェから、再び連絡が入りました。

カフェの店長から「客席側のエアコンから異音がする」と、設備に貼られたQRコードラベルの写真がメールで届いたのです。パソコンでそのメールを受信した事務スタッフは、kintoneの設備マスタの一覧画面でメールからダウンロードした写真を読み込んで、該当するレコードをすぐに特定しました。現場での効率化のために貼ったQRコードが、お客様からの連絡を的確な対応へスムーズにつなぐきっかけにもなったのです。

過去の経緯はkintoneには入っていなかったので、事務スタッフはkintoneのレコードURLを添えて、遠方の現場に出ていた主任へ連絡しました。スマートフォンで画面を開いた主任は、設置場所や機器の型番を見て即座に状況を把握しました。

主任「ああ、あの客席奥のエアコンですね。それなら、このあたりの部品を交換すれば直るはずです」

主任から交換部品の候補を聞いた若手スタッフは、それらを車に積み込んでカフェへ急行しました。

現場の変化:「全員が御社の担当者」の体制へ

店長「あれ、今日はいつもの方じゃないんですね。若いのに、前からのことをよくわかってるんですね」

若手スタッフ「はい!全員が御社の担当者として作業できるよう、情報共有の体制を改善しています。引き続きよろしくお願いいたします」

主任からの的確なアドバイスもあり、その日のうちに修理を終えることができました。

夕方、外出先で主任が「彼はうまくやれたかな」とkintoneを開くと、すでに本日の対応結果と交換した部品の写真、そして自分が伝えたアドバイスがしっかりと記録されていました。

主任「これなら、私が現場にいなくても安心して任せられるな」

事務所に戻り、報告を聞いた社長は、笑顔で主任に声をかけました。

社長「若手が迷わず動けたのも、主任が培ってきた知識と経験があったからこそですよ。主任の頭の中にあったものが、こうして会社の財産として形になっていくのは本当に心強いです」

特定の担当者の記憶に頼ることなく、これまでの知見を大切にしながら会社の情報として共有されていく手応えを、チーム全員が実感した一日でした。


まとめ:情報をつなぐ「現場の動線」をつくる

Bビルメンテナンスが目指したのは、クレームの再発防止です。その実現のために、「現場で動くスタッフにとって、本当に負担のない流れを作ること」に心を配りました。

  • 入力の手間を減らすため、最初は手書き写真や音声入力でもよしとする
  • 探す手間を減らすため、設備に貼ったQRコードを読み取って瞬時に絞り込む

小さな工夫の積み重ねによって、若手スタッフの言葉のように「全員が御社の担当者」といえる強い現場チームを目指せるようになりました。

「現場とつながるkintone」シリーズでは、今後も現場のリアルな課題に寄り添った改善ストーリーと具体的なアプローチをお届けしていきます。

《ビル管理》設備点検を最初から読むにはこちらからどうぞ。

🧩QRコード活用を支える kintone プラグインのご紹介

QRコードの発行や読み取りをはじめ、kintoneを使った現場業務をさらに便利にするプラグインをご紹介します。

※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

お問い合わせはこちら