《ビル管理》設備点検 #2:チームで決めたデータ化

「現場とつながるkintone」、前回は設備保守を手がける「Bビルメンテナンス」を舞台に、クレームをきっかけに社長の旗振りで改善が始まった経緯をお話ししました。

「誰が現場へ行っても、前回の申し送りがわかる体制をつくろう」

社長の一言で、社内の仕組みの見直しがスタートしました。

チームで要望をすり合わせる

まず行ったのは、社長、ベテランの主任をはじめとする現場スタッフ、そして事務所の事務スタッフを交えた話し合いでした。

社長「現場に負担をかけず、本当に必要な情報を共有できる形を、できることからみんなで考えよう。」

社長の言葉に背中を押され、現場スタッフからも率直な声が上がりました。

  • 現場で過去の履歴、とくに前回の申し送りを見たい
  • 現場で迷わず簡単に探せるようにしたい
  • 現場の作業がいきなりスマホやタブレットでの入力に変わるのは無理
  • 過去の膨大な紙書類をすべてデータ入力するのも無理
  • お客様からも、どの設備かずばりの情報がもらえると助かる

現場の声を聞いた社長は、「はじめてなのに、完璧なシステムは考えられない。自分たちで使いにくいところを変更しながら、業務に合わせて育てていけるものにしたい」と、システムの土台にkintoneを選びました。

ステップ1:どこをデジタル化するか

紙の情報をデジタル化するのは、現場にも事務所にも大きな負担になります。「まずは最低限から」と相談し、このような仕組みで始めることにしました。

建物マスタ

管理しているビルや商業施設、入居するテナントなどの基本情報を管理する台帳です。

設備マスタ

建物マスタに紐付け、設置場所(フロアや店舗)、機器名、型番などを整理し、設備ごとに重複のない「管理番号」を振る台帳です。すべての設備情報の土台になります。

連絡の履歴

お客様から電話やメールが届いた段階では、どの設備かまでは正確に判断できません。そのため、まずは「建物」に紐付けて、事務所の事務スタッフが受付内容を入力することにしました。

修理履歴(写真とテキスト)

現場で機器を特定したあとは、設備マスタに紐付けて、お客様からの聞き取り内容や修理箇所、作業メモを残します。

点検記録(紙と写真の併用)

定期点検の記録も、設備マスタに紐付けて残したいところです。ただ、点検内容は設備によって異なり、入力項目を統一するのも簡単ではありません。現場の作業手順が急に変わるのも対応が難しいため、まずは従来の紙の点検表をそのまま使い、kintoneには実施日を記録して点検表の写真を添付することから始めました。

ステップ2:どうやってデータ化していくか

枠組みが決まったら、次は「過去の書類とこれからの記録をどうやってデータ化していくか」です。

マスタは全員で分担してコツコツ入れる

何百台もある設備の情報を一度に登録するのは大変です。そこで、kintoneの操作に慣れることも兼ねて、全員で分担して毎月一定の件数をコツコツ入れていくことにしました。まずは設備の多い大きなビルから優先して進めることにしました。

主任「パソコンでの入力作業は、どうも苦手なのですが」

社長「発端は主任が頭の中に溜め込んでいたことですからね。慣れてもらうためにも、手伝ってください」

現場での入力はできるだけ簡単に

現場で文字を打つのが大変なときは、手書きメモの写真や音声入力を使ってもよいルールにしました。多少の誤字や脱字があっても、情報が残らないよりはずっと役に立ちます。

過去の履歴は入力しない

過去の紙ファイルは今まで通り事務所で閲覧できます。「最近の履歴がスマホで見られるようになるだけでも大違いです」という現場スタッフの声もあり、過去の履歴は入れないことにしました。マスタができた設備から、これからの分だけを蓄積していくルールになりました。

主任「……そうか。最近の履歴が現場で見られるなら、私にかかってくる電話はだいぶ減りますね」

データ入力が始まるにあたり、社長は頭を下げて協力を求めました。

社長「慣れるまで、現場スタッフにも事務スタッフにも負担をかけますが、よろしくお願いします」

動き始めた仕組み

こうして、Bビルメンテナンスの新しい情報共有の仕組みが動き始めました。事務所の事務スタッフが電話の履歴を入れ、現場スタッフが修理の写真やメモを残し、主任も自分の対応結果や次のアクションをkintoneに残し始めました。


データ化が進むにつれて、新たな課題も見えてきました。

次回「現場とつながるkintone」《ビル管理》設備点検 #3 では、Bビルメンテナンスが現場での作業をスムーズにするために取り入れた仕掛けをご紹介します。

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